保護犬が吠えない理由|うちのコの静けさに隠された過去
うちのコ、が吠えない理由
保護犬を迎えると、「この子、全然吠えないな」と感じることがあります。
うちのコもその一頭。
今回は、元繁殖犬だったうちのコが“吠えない理由”を通して、保護犬の静けさに隠された背景を考えてみます。
【うちのコ、の特徴】
2020年、我が家にやってきた元保護犬のうちのコ。
一緒に暮らしてみてすぐに感じた特徴は、
吠えない
噛まない
お腹を見せない
ということでした。
今回は「うちのコが吠えない理由」について、犬が吠える理由とあわせて考えてみたいと思います。

うーん…なんでなんだろ
【犬が吠えるのはなぜ?】
犬が吠えるのは困った行動と思われがちですが、実は大事なコミュニケーション手段です。
主な理由を整理すると、次の5つが挙げられます。
① 警戒・防衛
知らない人や物音に「危険かも!」と感じると吠えます。番犬気質の犬によく見られます。
② 要求・アピール
「遊んでほしい」「ごはんが欲しい」「外に出たい」など、飼い主に何かを伝えるために吠えます。
③ 不安・恐怖
留守番中の寂しさや、雷・花火などの大きな音に驚いて吠えることがあります。
④ 興奮・喜び
散歩前や飼い主が帰ってきたときなど、嬉しさで吠えることもあります。
⑤ ストレス・退屈
運動不足や刺激不足の発散として無駄吠えが出る場合もあります。
このように、犬の吠えにはそれぞれ意味があり、「声に出す=気持ちを表現している」と言えます。
【犬が吠えるのはなぜ?】
【犬が吠えるのはなぜ?】
ところが、うちのコにはこうした場面で吠えることがほとんどありません。
その理由を考えると、過去の環境が大きく影響しているのだろうと思います。
繁殖犬として5年ほど過ごしたであろううちのコは、
「遊んでほしい」「お腹がすいた」と訴えても応えてくれる人はいなかった
「怖いよ!」と吠えても助けてもらえなかった
嬉しさのあまり声をあげるような経験がなかった
そんな日々を生きてきたのではないでしょうか。
人に何も期待していない、言っても無駄
悲しいけどそんな感じのように思います。
初めて会ったときの、感情のないような表情を思い出すと、納得がいくのです。
吠えない保護犬は珍しくない
【吠えることができない子】
もちろん、保護犬がすべて吠えないわけではありません。
譲渡会に行くと、ガウガウ、ワンワンと元気に吠えている犬もたくさんいますが
うちのコのように「ほとんど吠えない」という子もよくある話です。
繫殖犬の中には悪質なブリーダーによって
声帯を切られている子もいると聞きます。
悪質すぎます、許せない行為です。
我が家では月に1回吠えたら「おお!」と感動するくらいです。

ママが帰ってきたのに先にトイレ行くと吠えちゃうよ
子犬のころから大切に育てられた犬で、そんなケースはほとんど耳にしません。
(もちろん、警察犬や訓練犬などは別ですが。)
【吠えないことが意味するもの】
吠えない犬は「静かで飼いやすい」と思う方も多いでしょう。
正直、私も助かっている部分はたくさんあります。
けれど、保護犬の場合はそれが“しつけの成果”ではなく、
「声をあげても無駄」と学んできた結果であることも少なくありません。
そう思うと、とても切なくなります。
きっと、面白いことや楽しいことを知らずに生きてきたのだろう――
静かで穏やかなその姿の奥に、胸が締めつけられるような思いが込み上げます。
保護犬は、みんな違う背景を抱えています。
吠える子にも、吠えない子にも、それぞれの物語があります。
そして、その物語が“幸せ”なものだった犬は、ほとんどいません。
だからこそ、今のうちのコがリラックスして寝そべっていたり、
おやつにはしゃいで尻尾を振っていたりする姿を見ると、
「あぁ、今安心してるのかな、楽しいのかな」と、たまらなく嬉しくなります。
そんな日々を重ねるうちに、
少しずつ柔らかくなっていく表情――
そんな変化を「保護犬と暮らす喜び」としてあなたも探してみませんか?

